映画 あなたを抱きしめる日まで(ネタバレあり)
王様のブランチでも宣伝してましたが、まんまとハマった1人です(^ ^)
劇場はほぼ満席でした。
英国人のフィロミナは50年経って、かつて暮らしていた修道院で、
出産した息子を奪い去られた過去を娘にうちあける。
その後、息子の消息を探しに、失業中のジャーナリスト、マーティンと一緒に旅にでます…
ベタな感動作はどちらかというと苦手。
でもこちらはサスペンス・ミステリー要素が強く、ストーリーも面白かったです。
話としては面白いですが、実話としては、かなり恐ろしい…
個人的に「汽車にのって」の歌にあるような、アイルランドは“素敵な田舎”
のイメージが強く、このような人身売買的な養子縁組(?)が数多くあることに正直驚きました。
キリスト教の多いアメリカやヨーロッパ諸国など、どのような映画として捉えているかは
分かりませんが、かなり宗教問題とゲイ等の人権問題に斬り込んでいるように思えます。
(息子のアンソニーはゲイで、それゆえ、職場で差別を受けてたように描かれていました)
カトリック教徒のフィロミナの信心深さは長所でもあり短所でもあります。
彼女は息子の存在を「未婚で子供を産んだ事を罪」と思い、50年も隠し続けてきました。
息子を探すために訪ねた修道院でも、シスターが嘘を言っていても、疑う事をしません。
やがてその嘘も明るみになり、息子が母親を恨んでいると思いこみ、自分を責めます。
行き詰まり、教会で「告解したい」と訪ねますが、教会(もしくは神)に対しての葛藤のためか、
結局そこで告解することをやめてしまうのです。
最後にマーティンに詰め寄られた悪玉、シスター・ビルデガードは
「私は純潔を守り神に使えている。未婚でセックスし、快楽に身を委ねる人達は罰せられて当然」と、
けして赦しも、謝罪しようともしません。むしろ傲慢です。
対象的にフィロミナは人身売買をしていたシスターを「赦す」と告げます。
私は日本も国外の宗教も政治も社会問題に詳しくないですが、
なにか根深いものを感じずにいられませんでした。
とはいえ、暗〜い映画でもなく、元カトリックのジャーナリスト、マーティンと
ジュディ・デンチ演ずるロマンス小説好きな主婦フィロミナのコンビが微笑ましい!
ふたりのやりとりが面白く、爽やかな終わり方でした。