映画「そこのみにて光り輝く」(一部ネタバレ含む)
綾野剛人気ももちろんですが、
北海道函館市が舞台で、
函館出身の佐藤泰志の小説が原作ということもあり
札幌では公開当初から人気が高く
劇場は満席でした。
ある出来事から、佐藤達夫(綾野剛)は仕事を辞め、誰とも会わず
毎日パチンコ通いと酒を飲み過ごしています。
仮釈放の身で日雇の仕事にしかありつけない拓児。寝たきりの父親。
千夏は昼は水産加工場で働き、夜は売春をして家計を支えています。
達夫は千夏惹かれ、やがて2人は心を通わせます。
投げやりに生きていた達夫は二人と出会ったことによって、
生きていく気力を取り戻していきます。しかしある日事件が起き…。
特別にファンというわけではないですが、
「この俳優が出てる作品はなんだか面白そう」と期待したくなる二人です。
監督は呉美保。
女性監督の作品ですが、「R15+」指定という事もあり、
なかなか大胆なラブシーン(濡れ場)も!
監督と俳優陣のこの作品に対する気合いを感じます。
観ていて、みんなハマり役!と思うほど生き生き(話的には暗いけど)しています。
実際にそこで生活しているかのような、素晴らしい空気感でした。
ラストは朝日の中、千夏に優しく微笑みかける達夫
…という、少し曖昧なシーンで終わります。
私にはそれがハッピーエンドだとおもいましたが、
絶望的な話でもあったので、見終わった直後はそれが小説や映画の思惑として
正しいのかどうか悩んでしまいました。
拓児は再び罪を犯し、その事を知った千夏は深く絶望します。
千夏はすべてを終わらせようと決意しますが、
その最中に達夫が止めに飛び込んでくるのです。
この先、千夏は達夫と結婚したからといって、弟の拓児は警察に出動したままですし、
出所後も苦労することでしょう。
貧しい家や父親の介護から逃れられる訳ではありません。
でもその絶望の瞬間、達夫はまっすぐな想いで千夏を救いだすのです。
そしてそれが光(希望)であり、達夫と千夏の未来だと思いました。
すべての終わり、
愛の始まり。
「そこのみにて光輝く」のキャッチコピーですが
そこにすべて集約されてるな〜と思いました。